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運送会社の生産性向上! 待機時間の短縮 編

運送業は他の業種と比べると利益を増やしにくい業種です。

下請けの運送会社は利益を上げるのに必死で、従業員やドライバーに給料を還元することも難しくなってきております。ただ、運送業でも生産性を向上し利益を上げる方法はいくつかありますので、今回は弊社が取り組んでいる生産性向上方法を紹介したいと思います。

【生産性向上の必要性】

トラック運送事業者における大きな課題は生産性向上です。政府は成長戦略の一環としてサービス業における生産性向上を掲げていますが、トラック運送業も対象業種の1つです。そのため国土交通省や全日本トラック協会も、トラック運送業の生産性向上への取り組みに力を入れています。

ですが、国土交通省や全日本トラック協会にできることは生産性を向上するための条件整備であり、実際に生産性の高い経営構造の構築に取り組むのは個々のトラック運送事業者であります。したがって、政策主導とは別に、市場原理の面からトラック運送業における生産性向上が強く求められています。

拘束時間、労働時間の短縮というコンプライアンスもそうですが、若年ドライバーを確保できるか否かが事業存続に関わってきます。

ドライバー不足という点では、10年ぐらいのスパンでみれば、現在のようなひっ迫感はかなり解消されるものと思われます。

理由は2つあり、1つは日本の経済、社会全般にわたって縮小均衡が形成されるからです。国内輸送量が減少し、したがって必要なトラック台数も少なくなります。

もう1つは荷主企業の物流効率化が進むからである。代表的なのは共同輸配送です。物流の共同化は縮小する国内市場への対策ですが、結果的にはドライバー不足への対応にもなります。

このように10年ぐらいのスパンでみるとドライバー不足は緩和されることが予想できます。ですがそれまでの間、ドライバーを確保できる事業者か否かで決定的な格差が生じます。つまりドライバーを確保できる事業者だけが、縮小均衡が形成されても勝ち残れる事業者ということになります。

そのためには生産性の向上が不可欠となります。

労働時間短縮と賃金アップは、従来の経営構造からは「二律背反」です。これまでは歩合制賃金と長時間労働の2つを前提に、経営が成り立っていたからです。そこで労働時間短縮と賃金アップという二律背反を克服してドライバーを確保できるようになるには生産性向上が必要になります。

では、生産性向上には具体的にどのような取り組みが必要でしょうか。

今回は「待機時間の短縮」についてです。

【トラック待機時間の現状】

トラック運送業の9割以上が中小企業と言われている業界ということもあり、顧客である荷主に対してあまり強く「荷待ち時間の改善」を要請できないのが現状だと言われています。

そのため、トラックは時間通りに到着しているのに、物流施設に他のトラックが列をなして待機しており、当たり前のように長時間の荷待ちが発生するのが現状です。

さらに問題とされているのが、こうした荷主側の理由で『荷待ち時間』が発生した場合でも、荷主側から追加料金などが支払われるようなことはなく、トラックドライバーの給料に反映されるようなこともないという点です。

現在の物流業界では、ドライバーの荷待ち時間を『休憩』扱いとして処理している運送会社も多く、その結果としてサービス残業の温床になり「ドライバーの長時間労働につながる」という悪循環が発生しているのです。

本来、荷待ち時間というものは、時間と場所を拘束するものですので、トラックの中にいるだけで運転をしていない場合でも立派な『労働時間』となります。つまり、これを『休憩』という扱いにするのではなく、ドライバーには適切な残業代を支払わなければならないのです。

トラックドライバーの荷待ち時間を改善していくことができれば、ドライバーの長期労働を減らすこともでき、過労死や過労自殺といった悲惨な労働事故も減らすことができると考えられます。特に、ドライバー不足が深刻化している現在では、トラックドライバーの労働環境改善は急務とされており、政府主導で荷待ち時間対策が行われるようになっています。

近年では、トラックドライバーの低賃金・長時間労働などの劣悪な労働環境が求職者にも認識されるようになっており、物流業界では深刻なドライバー不足に陥っていると言われています。もちろん、少子高齢化などで労働人口が減少しているなど、労働環境以外にもさまざまな要因があるのでしょうが、『荷待ち時間』などが要因となる長時間労働の改善は必要です。

【荷待ち時間の記録義務】

国土交通省は、トラックドライバーの業務の実態を把握し、長時間労働等の改善を図るため、荷主の都合により待機した場合、待機場所、到着・出発や荷積み・荷卸しの時間等を乗務記録の記載対象として追加する「貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する省令」を、公布しました。

1.背景

 トラックドライバーの長時間労働の是正のためには、荷待ち時間等の削減を図ることが必要です。このため、荷待ち等の実態を把握し、そのデータを元にトラック事業者と荷主の協力による改善への取り組みを促進するとともに、国としても荷待ち時間を生じさせている荷主に対し勧告等を行うに当たっての判断材料とすることを目的として、貨物自動車運送事業輸送安全規則(平成2年7月30日運輸省令第21号)に定める乗務記録の内容等を改正することとするものです。

2.概要

(1)乗務等の記録(第8条関係)

  トラックドライバーが車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上のトラックに乗務した場合、ドライバー毎に、

  ・集貨又は配達を行った地点(以下「集貨地点等」という。)

  ・集貨地点等に到着した日時

  ・集貨地点等における荷積み又は荷卸しの開始及び終了の日時 

  等について記録し、1年間保存しなければならない。

(2)適正な取引の確保(第9条の4関係)

  荷主の都合による集荷地点等における待機についても、トラックドライバーの過労運転につながるおそれがあることから、輸送の安全を阻害する行為の一例として加える。

引用:厚生労働省公式サイトより

これは、荷主の都合により30分以上の『荷待ち時間』が発生した際には、乗務記録を記載することを義務付けたものです。こうした記録を積み重ねることにより、荷主側が運送会社やドライバーに過度な要求をしていると判断できる場合、政府が荷主側に勧告や是正指導を行うことができるようになるため、その結果としてトラックドライバーの労働環境が改善できると期待されているのです。

【荷待ち時間の改善】

物流センターの前などで何時間も待たされるなどの荷待ち時間の影響で拘束時間がどんどん伸びてしまうというのが問題になっています。

もちろん、こういった荷待ち時間に関しても『労働時間』として換算され、適切な残業代を支払ってもらえるのであれば、ドライバー側も納得するのでしょうが、あくまで『休憩』とみなされてしまい、「拘束されているのに給料は支払われない」ということで、トラックドライバーは低賃金・長時間労働などと敬遠されるようになっているのです。

現在、日本の物流を支えるトラックドライバーですが、本当に深刻な人手不足に陥っていると言われています。そのため、安定した人材確保を目指すのであれば、ドライバー側の努力に頼るだけでなく、荷主側もより効率的な入出荷が可能になるようなテクノロジーの導入が必要になります。

ドライバーの確保を考える前に、現状の劣悪な労働環境を改善することがスタートになると考えられます。

 
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